「北陸新幹線開業に向けたまちづくりシンポジウム」で確信したこと(リアルタイムメモを全文掲載しました)

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早いもので今日から11月。
 
今年も残り2ヶ月となりました。
 
そんな10月最後の一日は、真っ青の秋晴れに、夜はブルームーンと何かと空を見上げることが多かった気がします。
 
コロナはあれど、まさに「上を向いて歩こう」ですね。
 
さて、そのような中、昨日はプラザ萬象で開催された「北陸新幹線開業に向けたまちづくりシンポジウム」に出席。
 
敦賀商工会議所さんを中心とする新幹線敦賀開業まちづくり推進会議が主催するもので、2023年の北陸新幹線敦賀開業を見据え、withコロナ時代の多様な受け皿づくりをどうしていくかとのテーマにて、まちづくりの分野では著名な方をお招きし開催されたもの。
 
コロナ対策を考慮し、定員は200名としているものの、会場の大ホールは、ソーシャルディスタンスを取りながら(1座席空ける)ほぼ埋まっており、関心の高さを感じました。
 
シンポジウムの方は、第1部が作家・ジャーナリストの佐々木俊尚様からのご講演、第2部のパネルディスカッションについては、佐々木氏がファシリテーターとなって5名のパネリストの皆さんとディスカッション。
 

 
都会の人が求めるものと地方の人が目指すものは違う。
無理やり新たな何かを作り出すのではなく、「自分たちの日常(歴史や文化)」を他の人にも見てもらおうという感覚が大事。
「雑談」から生まれる発想や、よそ者の意見や行動を温かく見守る「寛容性」が成功の鍵。
後は自分たち(敦賀市民)がどうしていくか。やるかやらないかだけ。
 
多くのヒントや気づきを得た中で、特に私の印象に残ったのは、このような言葉でした。
 
実は、私の持論も「市民自身が自分のまちの良さ(歴史や文化、自然、人)を知らなければ、他には伝えられない」、「市民が楽しいと感じ、盛り上がることが出来れば、自然と外から人は集まる」でありまして、これまでの議会でも提言したことがある訳ですが、まさにこのことが「確信」となった次第であります。
 
このシンポジウムの内容は、是非皆さんにも知っていただきたいと思い、会場にてリアルタイムメモを取っておりましたので、今日はそのことを掲載させていただきます。
 
以下に内容(ほぼ全て)を記載します。
リアルタイムメモにつき、言葉足らず、誤字等ありましたらご容赦ください。
 
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【北陸新幹線開業に向けたまちづくりシンポジウム】
 
1.日時:令和2年10月31日(土)14:00 〜 17:00
 
2.基調講演
(1)テーマ:コロナ時代にライフスタイル/ワークスタイルはどう変わるか
(2)講 師:佐々木 俊尚 氏(作家・ジャーナリスト)
(3)内 容:
・リーマンショック、東日本大震災の影響大。きらびやかな都市ではなく、自分たちの居心地の良さを求める風潮になった。
・コージー(居心地の良い場所)のある場所にやすらぎ。
・東京で西荻窪、赤羽などが人気あるのもその影響。
・敦賀で考えると、都市の目から見ると大きなショッピングモールには魅力を感じない。
・都市が持っている期待値と地方の目指すものにズレが発生している(ここ何十年も)。
・コロナによって、都市と地方の関係が逆転するのではないか。
・ソーシャルディスタンスによって、リモートワーク中心になってくると東京に居る意味がなくなってきた。
・勤務地も自宅、サテライトオフィス、事務所を選択出来る時代。
・週に1回程度の出勤だったら、都心に住む必要性が薄れ、1〜2時間圏内であれば許容されてきている。
・巨大で「密」な都市から、コージーで「疎」な都市へ。これは、都市の「地方」化である。
・より居心地の良い空間であり、疎ら(まばら)であることが見つめ直される=マインドチェンジしている(いわゆる地方・田舎)。
・SNSの発展で人と人のつながりが構築しやすくなっている。
・不便で文化に乏しい「地方」から、常に接続され、物流も整備された「リモート都市」へ変化する。これは地方の「都市」化である。
・デビッド・クレーバー「都市は人類最高の発明である」。
・近代の都市はなぜ発展できたのか。①工業化による人口増大、②多様な社会から生まれる。
・イノベーションは計画出来ない。一見すると無駄に見えるが「雑談こそが実は重要。
・ポストコロナ時代の人と人の関係に必要なものは、リアルもオンラインも含めた「雑談」。←地方に欠けているもの。
・都市と地方が交通とオンラインで縦横に接続されるいま、地方からイノベーションが必ずやってくる。
・まちとまちが繋がるのでなく、人と人が繋がることが新幹線のメリットである。
 
3.パネルディスカッション
(1)テーマ:withコロナ時代に、都市と地方の関係はこう変わる!そこから見えてくる敦賀のリアルなビジョン
(2)ファシリテーター:佐々木 俊尚 氏
(3)パネリスト:櫛引 素夫氏(青森大学)、長嶋 修氏(さくら事務所会長)、松尾たいこ氏(イラストレーター)、高木 新平氏(ニューピース代表取締役社長)、奥井 隆氏(新幹線敦賀開業まちづくり推進会議会長)
(4)内 容:
①現状の敦賀をどう捉えているか
■奥井
北前船300年の歴史。明治には鉄道開通により敦賀が発展する礎となる。さらには欧亜国際連絡列車が走ることにより、玄関口として栄えた。そして、新幹線開業によって節目が来る。100年ごとの節目に歴史をどう活かしたまちづくりにするか。新幹線を迎える前にそうした歴史を振り返りたい。
■櫛引
まちの文化の曲がり角。八戸が新幹線開業にぶつかった時の合言葉。地理的な感覚で捉えるのでなく、「ポストコロナ時代のゲートウェイ」として敦賀は何が出来るか。「人と人がつながる結節点」ということをアピールし、それを問われた時に答えられるようにしておくことが大事。八戸でも最後にブレイクしたのは、地味で日常的なものでも地元に愛されていたもの(せんべい汁、地元愛と努力)。観光資源と思っていなかった朝一に何万人が来るようになった。観光って何?人のつながりをどう考えていくか。
■松尾
(敦賀の何が魅力か)2015年から越前町、その後、美浜町にアトリエを構えている。自分がインスタやブログで美浜の食べ物や海辺の散歩を紹介したら、知人が福井に来るようになった。福井と言えば恐竜博物館や永平寺となるが、実際、美浜町に滞在してもらうと目の前に海がある、美味しいお魚があるだけで満足する。東京から来ると目の前の海こそが観光資源。東京の人が求めるものと地方の人が目指すものが違うのがネック。来た人は必ず「福井のファン」になって帰る。既にあるものを使って敦賀の良さを発信していくことは、すぐにも出来ること。
■高木
裏日本というキーワード。そのまま裏日本でも良いのでは。数年前に裏原宿が流行り、ひとつの文化になった。都市の人が求めているのは、見たことあるものでなく、誰も知らないもの、発掘することを求めていて、いかに見つけてもらうか、深掘りしてもらうかのまちの接点の作り方もあるのではないか。日常的なサプライズを作っていくこと。
■長嶋
自分たちがどうしていくか。やるかやらないかだけ。多くの自治体に「空き家」対策で呼ばれるが、役所とコンサルタントでやっているところは必ず失敗している。お任せ民主主義に慣れてしまっているが、市民の皆さんが動いてもらわないと成功しない。自治体の経営から言えば、無駄を省くこと、税収を増やすこと。そのうえでどう稼いでいくかを皆で考えていくことが大事。
 
②取り組みへのヒント
■櫛引
立ち戻るべき原点。皆さんにとっての幸せとは何か。言葉にして話し始めることで、何か答えが見えてくる。八戸の合言葉は2つ「海から開けたまち」、「市民が作ったまち」と若い人も言う。敦賀の人が、新幹線開業を踏まえ、「こうしたら来れるよ」「寝過ごすことはないよ」とまちの人が雑談力で話していけると良い。
■奥井
敦賀は恵まれている。アドバンテージの高いまちであることを認識し、新幹線が来るので、イベントを一過性のものとせず、稼ぐことを次のステップとして、住んでもらうことを目的として取り組むべきか。リゾートホテルとか。お金を落としてもらえるような観光施策、まちづくりにつなげていきたい。
■長嶋
自治体のGDPを伸ばそうと取り組んでいる自治体もある。お店もナショナルチェーンが駅前にあるより、ローカル店があったほうが断然良い。踊る阿呆がいれば、どんどん参加して盛り上がってくる。
■高木
観光は広告に近いものがある。北陸の人は都市部を外の人と見てしまう傾向にあるので、外と内を分けずに、自分たちのまちはこういうまちだと言っていると、どんどん人が集まってくる。観光という言葉はやめた方が良い、観光キャッチフレーズほど無駄なものはない。中のカルチャーを理解すると結束力が強くなり、共同体になっていく。順番を、中の人から作っていくというふうに考えるべき。
■長嶋
その地域特有の自然や歴史を感じることが、本来の「観光」であり、原点に返るべきかと考える。渋谷に住んでいるが、この自然を感じるだけでも癒される。
 
③具体的に何が出来るのか
■松尾
伊勢市でクリエーターワーケーション開催。短くても1週間は滞在してもらい、参加される方には、準備金5万円、宿泊代なども行政負担。行っている間に伊勢の良いところに触れてもらって発信してもらうことが目的。敦賀で何が出来るかとの観点でも参加してきたい。
■櫛引
八戸でもアートに因んだイベントあり。交通の向上により、色んなことを混ぜ合わせることが出来る。弘前市では感じて交わる「感交」を使用。自分たちが大事にしているものを他にも見せてあげようとの意識。ここでも雑談が必要で、週末には必ず、何かやりたい人が集まる場があった。
■高木
富山出身の自分としては、敦賀と言えば「敦賀気比」。敦賀の人にとってもプライドのひとつになっていると思うが、都市の人を巻き込んで、一緒に応援しに行くとか、一度でも関係を持った人の席を設けるなどもひとつのヒント。
■櫛引
高岡では、ハガキを一枚渡し、都会に出た人に送ってもらうなどの取り組みをしていたが、狙いとして良かった。
■佐々木
気づいたら、外の人が敦賀人になっていたというのが理想の形。
■高木
敦賀ふぐでもオーナーになって、見にいくみたいな。
■松尾
まずは敦賀の人が、地域の資源を蔑ろにせず大事にして共有していく。その次に外の人に伝えていくことが大事。
■長嶋
典型的な失敗例が別府温泉。まちが寂れているのに妙な建物が立っていたり、お金を掛けたわりにローカルな体温が感じられなかった。
■奥井
資源といえば、11月3日に「人道の港敦賀ムゼウム」がオープンする。これはまさに、敦賀の人が歴史を掘り起こして発見したもの。これを切掛けに敦賀ってこんな良いまちだったんだということを共有していきたい。先人達がグローバルな視点で受け入れたエピソードも元にし、市民が敦賀ファンになることが一番大事だと考えている。
■佐々木
人道ウィークで開催される音楽フェス。フェスへの関わりをどうつないでいくかも盛り上げられる切掛けになるかも。
■櫛引
八戸では、高校生達が勝手に盛り上げることで成功した事例あり。授業ではない、サードプレイス(事務所や自宅でない第3の場所)づくりとして出来れば面白い。
■高木
(構造とコミュニティについて)「熱狂したひとり」が出てくるかが一番かと。一人の行動で、まち全体を宿と捉えて取り組み、成功した例があるので、その一人を見つけ潰さないことが大事だと考える。
■櫛引
高岡の人で、自分の人生の10%は故郷のために使う(10% to HOME?)との取り組みをされている人がいる。一番いけないのは皆で諦める同調圧力、最悪なのは親が、ここは何もないから出て行けということ。負の連鎖をどう止めるかが人口減少対策にもつながるのかと。
 
④まとめ
■櫛引
まず友達を作りましょう。北陸新幹線沿線で面白いことをしている街があるので、是非そういうまちとの接点を。
■長嶋
ある程度うまく回った後は「資産」を貯めることが大事。特に不動産価値を上げること。新築して中古放ったらかしではなく、築40年でも50年でも住める家は沢山あるので、使えるものそうでないものを見極めて、一定の価値あるものにすると、まちにも固定資産として資産が溜まる。地銀とタッグを組んでやっていること。
■松尾
ここから一人づつ、周りの友達を巻き込んでいただきたい。
■奥井
多様な会話がイノベーションを起こすとの佐々木氏の講演に感動した。
■高木
中から仲間づくりしていくこと。そのためには、一人の熱意あるものが立ち上がること。特別なことではなく、寛容性が大事。寛容性がないところに面白いことは起こらない。面白いことがないところには人は来ない。よそ者が来た時に、自分が理解出来ないことや、訳の分からない存在を一旦許容することが盛り上がりにつながるかもしれない。
 
■佐々木
今日は、私たちの方から敦賀市にキャッチボールのボールを投げさせていただいた。後は、敦賀の人自身がどうするかだ。
 
以 上