2025年2月28日
「公平・中立・簡素」が税制の基本原則
昨晩は「連合アクション 2025春期生活闘争 総決起集会」に出席。
連合の統一行動でもあるこの集会は、福井会場(アオッサ)、丹南会場(サンドーム福井)、そして出席した嶺南会場(ニューサンピア敦賀)をオンラインで結ぶ形で行われ、それぞれ多くの組合員の皆さんが参加されました。
ご来賓には、杉本福井県知事もお越しになられ「継続的な賃上げと投資が必要」、「ウェルビーイングな就労環境を」などとご挨拶されたほか、「2025春闘に懸ける思い」を述べた3労組に共通していたのは「慢性的な人員不足」。
実質賃金が上がらないことによる雇用流出や厳しくなっている新規採用者の獲得などが要因に挙げられ、とりわけ、中小企業の是正格差は急務と肌感覚で感じた次第です。
なお、その後の総決起集会アピールであった言葉は、「今こそノルムを変える時だ。これまでは物価も賃金も上がらないのが当たり前。長く続いてきた、この〝当たり前”が変化しつつある。それは、私たちが『人への投資』を訴え、必死の交渉を積み上げてきたからである。この流れを社会の隅々まで波及させ、定着させなければならない。」
最後は、連合に加盟するすべての産別単組の早期有利解決に向け、ガンバロー三唱で皆の拳を固めたところです。
さて、従前にも述べたとおり、約30年もの間上がっていない「実質賃金」、いわゆる「手取り」を増やすためには、これまでの労使交渉頼みの「賃上げ」だけで解決できないとすれば、ここは政治の出番。
「賃金デフレ」からの真の脱却を図れるか否かの局面において、賃上げを上回る物価高騰への対策や減税などにより、政治で解決すべきことを今やることが極めて重要であることは言うまでもないこと。
そのため、国民民主党と自公の3党幹事長が合意した「103万の壁」の「178万円への引き上げ」や「ガソリン税の暫定税率廃止」が、言わば反故にされている状況を忸怩たる思いでいるところ。
「103万円の壁」に関しては、「新与党案」をメディアが「160万円案」と称していますが、国民民主党の玉木雄一郎議員がこれを「やめてください」とXポスト。
<以下、玉木議員のXポスト引用>
何度も言います。
「新与党案」を「160万円案」と呼ぶのはやめてください。
160万円満額の控除を受けられる対象は4%程度に過ぎません。
さらにそのうち1/3が年金受給者だと推察されます。
メディアの皆さん、よろしくお願いします。
また、これに続くポストでは、103万円の壁の引き上げを図示。
【Xポストで図示された与党案】
青字→昨年末の与党案(123万円案)
赤字→新与党案(基礎控除の上乗せ)
ご覧いただくと分かるように、「新与党案」の基礎控除の上乗せ分37万円を受けられるのが200円万円以下であって、フルスペックの控除額160万円(48+10+55+10+37)を満額を受けられるのは162.5万円以下の方に限られます(給与所得控除の10万円の上乗せを満額受けられるのは162.5万円以下であるため)。
ついては、
・控除額が160万円まで引き上がるのは200万円以下の人のみ(全体の4%程度)
・上乗せ控除額は年収に応じて縮小
であり、これを「160万円案」と呼ぶのは不適切だと指摘しています。
①壁の上に新たな壁、②所得制限、③中間層は時限的措置と、複雑になり過ぎて分からんという方も多いかと存じますが、根本的に何にこだわって国民民主党はこうした案を受け入れられないのか。
それは、税制は負担を求めるものである以上、理屈が重要で、その基本原則は「公平・中立・簡素」であるからです。
これに関しては、3党協議の交渉者でもあった国民民主党の古川元久代表代行が、アメブロで以下のように述べています。
(自公案に対して)
◉この基本原則(上記)に照らすと、まず「公平」かどうかですが、課税最低限は「最低生活にかかる費用には課税しない」という憲法25条の生存権に基づくものであるので、所得制限をかけるのは明らかに不公平です。
◉また経済活動に「中立」かどうかですが、所得が200万円の前後で課税最低限が37万円も変わってくることとなると200万円が新たな壁となり、この壁を越えるかどうかで働き控えが起きる可能性があり、この点で中立とは言えません。
◉さらに制度として「簡素」かどうかと言えば、所得制限を設けるのは間違いなく制度を複雑にします。
◉つまり課税最低限に所得制限を設けるのは「公平・中立・簡素」と言う税制の基本原則に反するのです。
私たちはこれからもこの税の基本原則を重視して交渉にあたりたいと思います。
引用は以上で、相容れない理由をお分かりいただけたかと存じます。
「少しは妥協すればいいのに」との声もいただきますが、基本原則に反する税制に賛成するようでは、党の理念にも反するもの。
そして、本来「手取りを増やす」ための所得税減税が、「新与党案」では国民の4%程度、低所得層にしか行き届かず、「中間層の底上げ」にはならないことを含め、皆様方におかれましては、メディアの「160万円案」に決してごまかされることのなきようお願いいたします。