「全日本中国語スピーチコンテスト」全国一位と「“勉強”が大切な本当の理由」

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「近所にこんなスゴい子が」
 
本年1月12日に開催された「全日本中国語スピーチコンテスト」(公益社団法人 日中友好協会主催)において、高校生部門の第一位として表彰を受けたのは、敦賀市ひばりケ丘町在住の千田実幸さん(3月に敦賀気比高等学校を卒業)。
 
ご両親とは、同じ町内で役員を一緒に務める(もしくは務めた)関係であり、令和5年には漢語橋 世界中高生中国語コンテストに西日本代表として出場するなど、娘さんのご活躍は認識していましたが、今回の「全日本中国語スピーチコンテスト」は、福井県大会で一位となり、その後の音源審査を経て出場し、高校生部門の第一位として表彰された“快挙”。
 
これまでも、同大会には敦賀気比高校として複数人出場しているものの、第一位となったのは今回が初めてとのことであり、この成績をご報告したいとのご本人の意向を受け、私のほうで中継ぎ役をさせていただき、21日(金)には、米澤敦賀市長に表敬訪問したところです。
 
市長との懇談のなかで、高校生になってから中国語を学びはじめて以降、のめり込むように中国語が好きになり、お母さんの言葉を借りれば「寝言も中国語で話す」ほどに。
 

【米澤市長を表敬訪問する千田実幸さん。市長も関心高く質問されていました。】
 
派遣事業で中国杭州市を訪れ、人や歴史などに触れてからはなお、中国語の力を高めたいとの意欲が高まり、より一層高みを目指し学んだとのことであり、まさに今回の「全国一位」は、「好きこそものの上手なれ」のもと、実幸さんの日々の努力があって成し得たものと納得したところです。
 
表敬訪問の最後には、米澤市長と記念撮影。
 

 
実幸さんにおかれては、4月からは東京にある語学の専門学校に進むとのこと。
 
中国語に加え英語、その他の外国語も学びたいと意欲満々の彼女が、敦賀市、もうひとつ言えばひばりケ丘町から、世界の架け橋となるような人物に羽ばたいて欲しいと、期待を込めてエールを送った次第です。
 
なお、表敬訪問の模様は、3月26日(水)より、嶺南ケーブルネットワーク(RCN)の「つるいち」で放送されます(追って、アーカイブでも見れます)ので、ぜひご覧ください。
 
こうして関心しきりのところ、たまたま産経新聞で見つけたのが、「科学的根拠から考える『“勉強”が大切な本当の理由』」との記事。
 
経済学の手法や理論、データを活用し、エビデンス(科学的根拠)に基づいて教育の諸課題解決に取り組む教育経済学者で慶應義塾大学総合政策学部の中室牧子教授の寄稿でしたが、同教授が問い続けるのは、短期的な成績や受験だけではなく「人生の本番で役に立つ教育は何か」というテーマ。
 
かいつまんでポイントを申し上げると、教育経済学の研究者が使う理論的枠組みに、どのような教育的インプット(投入)をすると、学力や学歴のようなアウトプット(算出)につながるのかを分析する「教育生産関数」という考え方があり、実証ではインプットの重要性が分かった。
 
ほめ方(インプット)も例えば、90点という結果ではなく、「遅刻せずに登校できた」など途中のがんばりをほめる。ご褒美も90点に対してではなく、「忘れずに宿題に取り組んだ」から。目標設定も「90点取る」ではなく、「1週間に本を2冊読む」といった設定の方がよい結果(成績)につながっていることが判明した。
 
こうした研究は、教育では過程を見る大切さを伝えています。私たちはその重要性を何となく理解していますが、教育経済学によって言語化・数値化されて納得しやすくなってきているのではないか。
 
勉強は人的資本への投資の一つで、一定のリターンがある。例えばですが、株式投資の過去50年間の平均的な投資収益率・投資利回りは約5%。幼児教育の投資収益率はそれをはるかに上回るという指摘もある。こうした投資は、学力テストなどで測ることができる認知能力を高めることにつながると考える人も多いでしょう。認知能力は読み書き計算と言われますが、本質的には考える力。突き詰めると、投資したいのは長期的に必要となる思考力
 
今は、多くの人が目の前の成績や受験に夢中になりすぎて、受験をゴールだと考えているような気がします。受験は何かの始まりにしか過ぎないのです。受験を通り抜け、勉強は苦行だという学生が少なくありません。変化が大きく、いつ何時も学び続けることが必要な時代にあって、勉強が嫌だと感じてしまう状況は非常に厳しい。学びは、「楽しい」の延長にあってほしいのです。
 
経団連がまとめた新卒採用に関するアンケート(2018年11月発表)では、企業が大学生に求める能力の1位がコミュニケーション能力。それに主体性やチャレンジ精神が続きます。学業成績は18番目。学校という場所から遠くなっていくほど、学力以外の力が重要視されていく。だからこそ〝人生の本番で役に立つ教育〟を考えていかなければいけません。
 
本当の意味で子どもをより良く育てる国に。能力を高め、好きなことで自立して生活し、将来に不安がない状況を作り出すこと。それが教育のゴールであり、教育経済学者として尽力していきたい。
 
以上の中室教授の考えに「仰るとおり」と共感した訳ですが、重なるのは冒頭の千田実幸さん。
 
まさに「楽しい」の延長に「学び」があり、この能力をより高め、将来に生かしていく。
 
『“勉強”が大切な本当の理由』を自然と実践する彼女の今後を、改めて応援する次第です。